SF 明日かもしれない 3話

映画「レフト・ビハインド」

ニコラス・ケイジ主演のリメイク版じゃない。

あれは偽旗映画だ。

その前のオリジナル版の作品で別名「人間消失」という映画。

DVDにもなっている。

人間が同時に、地球上から何億人も消える、そういう映画だ。

 

あの映画に状況がとても、

似ていた。

「人間消失現象」への

各省庁への問い合わせが殺到した。

回線はパンクして、政府は記者会見を開いた。

 

家族が消えてしまった人々は、

消失者たちを探して、幽霊のように歩き回っていた。

 

 

世界中で人が大勢いなくなった。

 

恐怖でパニックになった国民を抑えるため、

政府は有事法や治安維持法を発動させた。

警察官も、

自衛官も、

消防士も、

誰もかれもが悲しみで泣いていた。

UFOによる誘拐か?

それとも某国の新兵器による攻撃?

テレビでもネットでも様々な情報が飛び交った。

 

教会にいた人々はみんな消えてしまった。

おふくろも消えてしまった。

俺だけが残った。

 

「すいません。こちらの方ですか?」

 

「えっ? あ、はい。」

 

「今朝、娘がいなくなったんです。」

 

「あ~。そうですか。・・・」

 

「娘さんは、クリスチャンだったんですか?」

「はい。」

 

「娘は以前こう言ってたんです。」

 

もうすぐイエスさまが迎えに来るから、

自分がある日、いなくなる日がくるから。

それはね。イエスさまが私たちクリスチャンを迎えに来て、

天国に引き上げたってことだからね。

 

お母さん、お願い。

もうすぐイエスさまが来るから。

お母さんもイエス様信じて一緒に天国に

引き上げてもらえるようにしよう。

 

「たしか、そんなことを言ってたんです。」

 

「私は馬鹿馬鹿しく思えて、

相手にしなかったんですが・・・。」

 

「・・・娘は今、天国にいるんですか?

死んでるんですか?

生きてるんですか?

何か知ってたら、教えてくれませんか?」

 

「はぁ、」

 

俺は知っている範囲で、

出来るだけ分かりやすく、丁寧に彼女に「携挙」のことを説明した。

説明していると、どんどん教会に人が勝手に入って来て、

一緒に話を聞いていた。

 

でも、難しい質問もどんどん出てきて困ってしまった。

「神さま、助けてください。

聖書を良く知る残されたクリスチャンを

ここに遣わして下さい。」

 

心の中で静かに祈っていると、

祈り終わらないうちに、

祈りの答えが目の前に現れた。

「きみ、ここの教会の牧師かい?

若っかいなぁ~。」

以前、ある教会の牧師をしていた、という人だった。

 

エッ? 牧師なのに残されたの?

俺も最初はそう思ったんだけど、

話しを聞いて納得した。

 

彼は昔、仕事をしながら、

教会の無い地域で教会を初めたらしいんだけど、

でも上手くいかなくて、

おまけに悪いうわさや誹謗中傷に参ってしまって、

それで教会も、

そして信仰も辞めたんだそうだ。

 

でも、イエスさまを信じ続けていた奥さんや子供たちが、

今朝「携挙」されて「いなくなった」のを目の前で見て、

「やっぱり聖書は正しかった!」って言って

ひっくり返ったんだそうだ。

それで近くにあったこの教会に飛び込んできたんだ。

俺やこの人たちみたいな人が

教会に来ている筈だ!って。

 

で、この人、

聖書にも聖書預言にも、精通していた。

凄い。

大抵のことは何でも知っていた。

 

お客さんへの質疑は彼が行い、

俺は補佐に回った。

「みなさん。安心してください。

みなさんの家族は全員無事です。

より安全な場所に一時的に避難しています。」

「オオ~!!!」

集まっていた人たちはどよめいた。

「いつ戻って来るんですか?」

「どこにいるんですか?」

「誰が連れてったんですか?」

 

「みなさん。まずは落ち着きましょう。

よく聞いてください。

また生きて家族に会いたければ、

これから読む聖書箇所を、一緒に、よく見て、よく聞いてください。」

 

携挙に取り残されたこの元牧師の話しでは、

もうすぐインターネットが規制されるらしい。

 

俺は元牧師に指定されたいくつものサイトを開いた。

そしてそれらのサイトのページを紙に印刷した。

みんな携挙の話を聞いて、

聖書の話を聞いて、

いなくなった家族の話を聞いて、

神の話を聞いて、

イエスキリストを救い主として大勢が信じた。

そしてその人たちの洗礼式がすぐに行われた。

 

この世界を創られたの本当の神さまがおられる。

神さまはあなたを愛している。

しかし私達は罪人である。

そして罪人は、神のいる天国には入れない。

 

しかし愛なる神はイエスを遣わされた。

そしてこのイエスは、私たち人類の身代わりに、

罪の呪いを受け十字架で死んでくださった。

 

そして死後三日の後、イエスは、死を打ち破って復活された。

これによって、人は死後も生きるていることを証明された。

 

そしてイエスは、ご自分のおられるべき場所である天へお帰りになった。

主イエスは、今も生きている。

じつはこのイエスこそ、神である。

 

イエスだけが、我々人類の魂の行き先を、

天国に行きか、地獄行きかを、決めることが出来る唯一のお方である。

 

自分が罪人であることを認め、

イエスキリストの十字架の死と復活は、

自分のためであったことを、信じる者は救われる。

 

 

 

「あなたはイエスさまを信じますか?

「はい、信じます。」

「それでは、父と子と聖霊の御名により、

すなわち、主イエスキリストの御名によって、

この方に洗礼を授けます。」

 

リバイバルだ。

こんなにたくさんの人が同時に洗礼を受けははじめて見る。

 

それから元牧師は、

これから何が起こるかを、分かりやすくみんなに教えてくれた。

 

もうすぐある出来事が起こるらしい。

その出来事が起こると、

「人類史上最悪の悲惨な時代」が始まる、というのだ。

 

キリスト教でこの期間のことを「患難時代」というらしい。

この期間は「7年間だけ」らしい。

でもこの7年間だけで、

地球上のほどんどの人間は死に絶えるんだそうだ。

70億を超える今の人口は、

7年の終わりには

5分の一ぐらいに、あるはそれ以下に

減っていると元牧師は云う。

本当かよ?

 

どうすればこの「7年間」を乗り越えられるか?

 

それをこれから集まるたびに

元牧師はみんなに教えてくれるらしい。

 

その日は長い長い一日だった。

世界で一番長い一日だったのではないか?

結局夕方まで教会にやって来る人は絶えなかった。

 

俺はいなくなった教会の牧師のバイクで家に帰ることにした。

 

天を見上げて、

「先生~。すいませ~ん。バイク、しばらく借りますよ~。」

すると「良いよ~」と、

聞こえたような気がした。

教会に来た人たちは、

自分の家族が生きていると聞いて、

安心して帰って行った。

でも中には、半信半疑の様子で帰って行く人もいた。

不思議だけど、

俺は充実していた。満足していた。

 

俺は聖書のことを文字通り信じている母を馬鹿にしていた。

お母さん!

あなたは正しかった!

 

お母さん、

俺、もう迷わないよ。

俺は神さまを信じるよ。

イエスさまを信じて生きていくよ。

 

これから始まる患難時代を、絶対生き延びて見せる!

 

そんな気持ちがわいてきた。

 

 

不思議だけど、

生まれて初めて「生きてる」実感を感じている。

イエスさま。

イエスさま。

この時のために私は生まれてきたんですか?

私は死ぬ覚悟は小さい時からありました。

でも自殺しなくて良かった。

死ななくて良かった。

生きててよかった。

誰かが俺を必要としている。

誰かが俺の力を必要としている。

頑張ってみます。

どうか助けてください。

 

 

でも俺はこの時、

患難時代の

本当の恐ろしさを

知らなかったんだ。

 

あんなに、

あんなに恐ろしい日々がやって来るなんて、

誰が想像できただろう。

あんな地獄のような日々だと知ってたら、

俺はあんな祈りは

しなかったはずだ。

 

あぁ~。

携挙が起こる前に戻りたい。

こんなことになるんだったら。

 

 

携挙が起こる前に。

 

 

 

 

 

しかし、
 
あなたがたは、
 
やがて起ころうとしているすべてのこと(患難時代)から逃れ、
 
人の子(キリスト)の前に立つことができるように、
 
いつも油断せずに祈っていなさい。
 
ルカ福音書21章26節

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく