私たち神学生は、
実習で愛知県のどこかの山村にやって来た。
3泊4日で教会堂に泊まり込み、
二人一組で地域の人に伝道するのだ。
最初の日がやって来た。
私の相棒は仲村兄弟という人だった。
私より二十歳ぐらい年上で、いつもニコニコしているまじめな方だった。
で、結果はどうかというと、
だいたい門前払いである。
二日目がやって来た。
相棒は有泉兄弟。
65歳で最年長の神学生だった。
「こんにちは~」勝手にドアを開けて玄関に座っている。
「奥さん美人だねぇ~。」
まるで、知り合いにでも会ったかのように、
親し気に、要件を伝えていく。
「はい、では伺います。」「よろしくお願いします。じゃぁ。」
仕事を成功させると玄関を閉める。
凄い。
次から次へと、心の扉が開かれてゆく。
後から知ったが、
有泉兄弟は元アマレスの全国チャンピオンで、
公文か学研か忘れたが、そのセールスで全国一だったという。
凄いわけだ。
訪問相手にスキを与えず、
少し強引すぎる手法は、
押し売りにも見えるのだが、
結果は出している。
しかし、よく見ると犬を飼っている家は訪問しなかった。
「何で犬のいる家は訪問しないんですか?」
「危ないからさ。」
「じゃぁ、僕にやらせてください。」
「やめときなよ。」
「大丈夫です。僕、こう見えても戌年ですから。」
吠えたける犬を横目に、
玄関ゲートを開いて、玄関ドアに近づいた。
ガブ!
「痛~い!」
人差し指に、
犬が思い切り噛みついていた。
指の詰めがはがれ落ちている。
血が噴き出していた。
「だから言ったでしょう?」
近くの公園の水道で、
傷を洗ってハンカチで巻いてくれた。
「飲みなよ。」
ジュースのビンを渡された。
秋風が吹く木陰の下、二人でベンチに座ってジュースを飲んでいた。
「一息ついたら、また頑張ろう。」
「はい。」
忘れ得ぬ神学生、
有泉兄弟。
きっと彼の就任する教会は、
大成するんだろうなぁ。
と思ったが、
彼は卒業後、
すぐに天に召された。
「わたしたちの中には、だれ一人自分のために生きる者はなく、だれ一人自分のために死ぬ者もいません。わたしたちは、生きるとすれば主のために生き、死ぬとすれば主のために死ぬのです。」
ローマ14:7
悪魔は神の人をねらっているのか。
覚悟しなければ、、、
ハーフ牧師がゆく つづく






