ハーフ牧師がゆく 38話

学院の神学生たちに誘われて、大阪の都心に、平日の夜に出かけた。

 

電車を降り、都会のビル街を歩いて、一つのビルに入って行った。

 

エレベーターを降りると、ビックリした。

そこに200人ほどの人が集まり、賛美集会が行われていた。

 

そして、聞いたことも無いような、好戦的な賛美歌が聴こえてきた。

「聖戦をふれよ♪ 聖戦をふれよ♪ 勇士達よ立て~。

鋤(すき)を剣に! 鎌を槍に打ち直せ! 」

 

あれ?

戦争とか、

戦(いくさ)とか、

キリスト教では御法度じゃ無かったっけ?

 

ところが集まった人々は、

賛美リーダーに合わせて、立ち上がって、汗を流して、歌っていた。

 

ギターを弾きながら熱唱している人物は、

小坂忠という、元プロの歌手の牧師だった。

 

すごいな。

賛美が終わると、

真っ白いスーツを着た、

ハンサムな男が出てきた。

「昼でもアーサー! 夜でもアーサー!

アーサー、アーサー、アーサー・ホーランドでーす!」

 

何だこの人は?

日米ハーフの宣教師だった。

 

それは、

初めて聞くタイプの説教だった。

いや、

漫談だったかもしれない。

 

時を忘れて聞き入った。

笑いあり、

涙あり、

聴く人を引き付けて離さない、

体験談を交えた、

生きた説教だった。

 

凄い!

面白い!

 

聴衆は、

神への再献身を誓って会場を後にした。

 

凄いものを見せてもらった。

賛美歌が、

説教が、

教会の集会が、

エンターテイメントだった。

 

これなら日本にもリバイバルが来るのではないか?

 

イエス様を伝える牧師にも、

いろんな人がいるものだと感心した。

 

次の日、

新聞を読んでいた同級生の白鳥兄弟が声をかけてきた。

「すごいよ。大阪に『キリストさん』って呼ばれている人がいるんだって」。

 

私は新聞を見た。

 

大阪の貧民街で、

夜回りをして、

ホームレスのお世話をし、

おにぎりや、温かいお茶を配って歩いている

神父がいるという。

 

「神父?」

 

カトリック教会?

カトリックといえば、

異端である。

 

しかし、

凄い牧師はたくさんいるが、

『キリスト』という称号を第三者から受ける牧師はいない。

 

 

いったいどんな人物だろう?

 

私は学院の休みに、

その人物を訪ねてみることにした。

 

 

ハーフ牧師がゆく つづく…