ハーフ牧師がゆく 14話

「ジョニーくん。もう、ゆるしたら? 」

「エッ?」

 

 

「ゆるす?」

「神さまは、

まず私たちを赦して下さった。

 

一人子のイエスさまを十字架につけるほどに、

私達を愛してくださった。

 

それほどまでに、

赦し会うことを教えてくださった。

 

そうまでして私たちに模範を、

示してくださった。

だから私たちも、互いに愛し合うんだよ。

だから互いに、ゆるしあうんだよ。

 

それに、知ってるかい?

きみのお父さんの家族は今、

離婚の危機に直面しているだ。

 

もし離婚したら、

ジョニー君の異母弟妹は、

お父さんのいない子どもに

なるんだよ。」

エッ? 離婚?

フランク!  キャリー!

そんなぁ・・・・・・・

フランク、

キャリー、

 

 

俺の家には父がいない。

 

 

物心ついたときから居ないから、

別に欲しいとは思わなかった。

けど、

でも母はそれで苦労した。

 

子どもに日本国籍は無い。

だから福祉の助けの手は届かなかった。

 

それにニーナは、本当にさびしい思いをした。

ニーナ。

 

父がいない家の子は、

かわいそうだ。

 

お母さんがいない家の子は、

かわいそうだ。

 

そんな家は、

この世に絶対にあってはならない。

 

俺はそれを憎む。

 

なのにこのが俺が原因で、

フランクやキャリーは今、

父のいない子になろうとしている。

 

なんてこった!

俺は俺がこの世で最も憎むことを

行ってしまった!

 

何てことだ!

何てことだ!

どうしたら良いんだ?

神さま、助けてください!

 

ゴメンよ。

お父さん。

俺のせいで・・・

 

俺がアメリカに来たばっかりに、

こんなことになっちゃって。

ごめんよ。

 

謝らなきゃならないのは、

俺の方だ。

俺は椅子から立ちあがった。

父の前に来ると、

 

 

ひざまずいた。

 

 

謝らなきゃ・・・

 

 

 

俺の知っている英語はわずかだ。

イエス、ノー、

サンキュー、アイムソーリー、

ハンバーグ

ぐらい、である。

 

俺は知っている英語で、

父に話しかけた。

 

お父さん。

「 ゴメンなさい。 」

「 I am sorry. 」

「 ごめんなさい。 」

俺は

泣き崩れてしまった。

 

わぁあああああああん。

わああああああああああああああああああああああああああん。

どれぐらい泣き続けただろうか?

 

床には、

涙と鼻水がどんどんたまっていく。

 

汁だまりが広がってゆく。

 

このままではこの家は

 

涙と鼻水で水没するのでは?

泣き続けていると、

 

涙と一緒に心の中にある「どす黒いもの」が、

綺麗に

流されていく。

 

 

風呂場の黒いカビに、

カビキラーをかけて、

そのあと水をかけると、

カビが流されて、

風呂場が「真っ白」になるように、

 

 

 

心が真っ白に、

 

 

なってゆく。

 

 

あぁ、

 

心が、

 

暖かい。

 

 

不思議だ。

 

 

何だこれは?

 

生まれて初めての

 

 

体験だ。

 

 

心の中が暖かい。
 

嬉しい。

 

 

何だこの幸せは?

 

 

そうだ。

 

 

お父さんは、

 

 

俺やニーナに、

 

何もしてくれなかったけど。

 

お陰で俺たち、

 

この世に生まれて来たんだなぁ。

 

あぁ、

 

 

なんて在り難いんだ。

 

それだけでも、

 

在り難いじゃないか。

 

お父さん。

 

お母さんと出会ってくれて、

 

ありがとう。

お父さんと、

お母さんがいたから、

 

ぼくたちは生まれて来た。

 

 

それだけで、

 

 

十分じゃないか。

 

 

在り難いじゃないか。

 

二人は、

 

戦争やいろんなことがあって、

 

家庭をうまく築くことは

 

出来なかったけど、

 

努力はしたんだよね。

 

 

 

 

いいよ。

 

 

ゆるすよ。

 

 

 

お父さん。

 

 

 

お母さん。

 

 

 

 

ありがとう。

 

 

 

僕たちを生んでくれて、

 

 

 

ありがとう。

 

 

 

 

ありがとう。

 

ありがとう。

 

 

ありがとう。

 

 

 

 

私は頭をあげて、

知っている英語で父に語りかけた。

「 Thank you 」

「 ありがとう。」

「 Thank you  」

父は突然、

抱きついて来た。

そして大声で泣き出した。

 

 

 

 

 

 

 

俺よりも

体は小さいけれど、

 

 

力強かった。

 

大きかった。

 

 

 

父とはこんなにも

 

大きいのか。

 

 

 

父とはこんなにも、

 

 

暖かいのか。

 

父とはこんなに、

力強いなのか。

 

 

 

あぁ。

 

嬉しいぃぃぃ。

 

 

生まれて初めて知る、

 

 

父の愛。

 

 

こんなに嬉しいことは無い。

 

 

17年間壊れていた関係が、

 

キリストを信じる者の仲介によって、

 

立て直された瞬間だった。

エペソ書 2章14,15節

 

キリストこそ私たちの平和であり、

二つのモノを一つにし、

隔ての壁を打ち壊し、

ご自分の肉において、

敵意を廃棄された方です。

 

あの日、

私は父を憎むのを

やめた。

 

 

憎しみから解放された。

 

 

心に自由が訪れた。

 

 

イエスさま、

父を許すことを教えてくださり

感謝します。

 

イエスさま。

ありがとうございます(涙)。

ありがとうございます。

 

 

 

 

S先生。

通訳をしてください、

ありがとうございます。

 

ゆるすことを教えてくださり、

ありがとうございます。

 

愛することを教えてくださり、

ありがとうございます。
 

 

 

 

 

このブログを読んでいるあなたへ・・・

 

 

 

あなたは許せない人がいますか?

 

 

つらい目にあったんですね。

つらかったですね。

 

 

 

手放してみませんか?

 

その憎しみを。

 

あなたがどんなに憎んでも、

苦しむのはあなただけ。

 

 

手放しませんか?

 

 

ゆるすとは

 

わすれること。

 

 

 

わすれるとは、

 

何も無かったように、

その人と、

かかわる勇気。

 

 

 

 

 

大丈夫。

きっと、きっと許せるようになります。

 

きっと、解放されます。

大丈夫。

 

自由になります。

 

 

イエスさまはあなたを、

助けてくださいます。

 

大丈夫。

大丈夫。

 

イエスさまを信頼して。

 

イエスさまに語りかけてみて。

「イエスさま、私を助けて。」

 

声をかけてみて。

 

 

 

信じてみて。

 

大丈夫。

 

 

大丈夫。

 

 

あなたなら、

きっと

 

大丈夫。

 

 

 

 

ハーフ牧師がゆく 14話

続く・・・