第二話
「自尊心」
よく、三つ子のたましい(魂)100までという言葉を聞くが、
私もその通りだと思う。
幼い時に
愛情いっぱいに母親に見つめられた子供は、
高い自己肯定感を持つ。と思う。
赤ちゃんはこう思うんです。
私は、目の前にいる人物(母親)に100%依存しないと生きられない。
私に取ってこの人物は最重要人物だ。
それなのに、どうもこの人は私が大好きらしい。
私が呼べ(泣け)ば、喜んで飛んで来てくれる。
ということは、
最重要人物にとって最重要人物な私は、
そうとうに最々重要人物なのではないのか?
私は相当に尊い存在、価値ある存在ではのなのだろうか?
と、思うのではないでしょうか。
心の根っこにそういう高い自己肯定観があるので、
自信を持って、失敗を恐れずに何にでも挑戦する。
そうして成功して何者かへと、成っていく。
のではないのかと、私は思うのです。
しかし幼い時代、
母親に無関心扱われた子供は違うと思うのです。
泣いても叫んでも、
誰も反応しない。
幼いながらに自らに確信するのだ。
「あ~、どうも私には価値が無いらしい。」
そしてこう思うのではないか?
私は望まれて生まれてきたわけではないようだ。
生まれてきて、
ごめんなさい。
潜在意識の中に刻まれたそんな思いは、
大きくなっても消えることなく、
自分はいない方がいい。
人は自分が嫌い。
そう思うのではないだろうか?
私の父と母は、
私が生まれてすぐに離婚した。
父からの仕送りは一切なく、
日本の国籍が無かったので母子手当てもうちには無かった。
母はお金を稼ぐためいつも家にいず、
いてもいつも怒ってばかりいた。
でも、
低い自己肯定感はあまり感じなかった。
それには理由が二つある。
一つ目は、お姉ちゃんがいつも一緒にいたこと。
二つ目は、当時の子供向け番組や漫画は、商業主義ではなく、
子の健全育成を考えられた素晴らしいモノが
多かったような気がすることだ。
宮古島から那覇に引越して来たその日の夕方、
テレビをつけるとウルトラマンタロウが出ていた。
私も姉も、
度肝を抜かれた。
当時の沖縄県の離島群には、
NHK以外のテレビ放送は届かなかったのだ。
NHKでは今のようなアニメや特撮は無かった。
そしてさらに度肝を抜かれたのは、
プロレスのタイガーマスクだった。
何てかっこいいんだ!
私は興奮した。
私は母にお願いして、
本屋さんで梶原一騎原作のタイガーマスク、第一巻を買ってもらった。
そして読んで号泣した。
自分を育ててくれた養護施設の危機を救うため、
虎の穴を裏切って賞金を全額寄付してしまい、
命を狙われることになった伊達直人。
一体これからどうなるんだろう?
続きが知りたい、がお金がない。
無いなら稼げばいい。
新聞配達のアルバイトを始めた。
タイガーマスクを全巻そろえると、
今度は「がんばれ元気」に夢中になった。
亡き父の夢を果たすため、
上京してチャンピオンを目指す堀口元気。
「元気!頑張れ!関健司をやっつけろ!」
あ~、なんて素晴らしいんだ。
乳児期に幼少期、
父親にも、
母親にも、
見つめてもらうことはほとんど無かったが、
少年期に出会った素晴らしい人生の手引書たちのおがげで、
明るく元気で活発な少年になったと思う。
原達夫と武論尊の「北斗の拳」には、
ビックリした。
正しいことや、
愛を実践するためには、
力が必要なのだ、ということを教えてくれる漫画だった。
誰かがいじめに遭っていると聞くと、
私は飛んで行って助けてあげた。
小学5年生で身長が170センチを超えた私は、
中学生になるまでは敵がいなかった。
いつしかあだ名は「正義の味方」になっていた。
小禄中学は、
高良小学、宇栄原小学、小禄小学が合流した中学校だ。
知らない同級生がたくさん出来た。
ある日、いじめっ子がクラスの子をいじめてる、
という訴えがあった。
私はケンシロウのように指をぽきぽき鳴らし、
いじめっ子の肩をつかんで、
グイッと引っ張って、後ろに引き倒して、
こう言った
「お前はすでに死んでいる。」
しかし
死んだのは彼ではなく、
私の方であった。
次の日、
そのいじめっ子の兄(二年生)が、
友人多数を連れて来て一年の私のクラスに来た。
弟がやられた復讐をするためだ。
私は肩をつかまれ、
上級生たちに取り囲まれた。
ガクガクブルブルである。
その時、私の頭の中に出てきた漫画の一場面は、
ビーバップハイスクールのそれである。
あの漫画は面白かったが、
私はあまり好きではなかった。
私はボコボコにされた。
あばら骨が数か所
折れていた。
が、
母はいつも仕事でいなかった。
数日後に病院に行き、
医師に呆れられたのを覚えている。
その日以来、
不良少年たちのサウンドバックになった。
上級生はもちろん、
同級生の不良たち、
助けてあげた子たちまでもが、
一緒になって殴り、蹴って来た。
素晴らしい漫画たちとの出会いで
せっかく元気で明るく活発な少年になったのに、
暗く陰気で駄目な私に、
私は戻った。
唯一の逃げ場は「授業中」だったが、
頭も悪いので、
どうしようもなかった。
この時のことを思い出すと、
いまでもしんどくなる。
イエスさまを信じていなかったら、
私は一体どうなっていたんだろうと、
今でも思う。
それほどに、
イエスさまは私を救ってくれた。
この時
私は13歳。
救われるのはあと4年後の話しである。
あなたは救われていますか?
憎しみから。
怒りから。
絶望から。
悲しみから。
どうか一人で悩まないでください。
あなたは愛されています。
あなたを回復して下さる神さまのもとへ
戻って来てください。
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